他の相続人がすでに別の税理士に依頼しています。同じ税理士に依頼しなければならないのでしょうか?
1 相続税申告では、別の税理士に依頼しても良い
亡くなった方の相続人が複数いる場合には、基本的にはすべての相続人が相続税の申告をしなければならないこととなります。
この場合、申告書については、1つの相続税申告書に複数の相続人が連名で押印し、共同で申告を行うことがしばしばあります。
このような場合には、相続人全員が1人の税理士に相談し、その税理士が申告書を作成していることが多いでしょう。
もっとも、相続税については、必ず1つの申告書に連名で押印したものを提出しなければならないわけではありません。
たとえば、他の相続人が信頼できなかったり、他の相続人が依頼した税理士が信頼できなかったりして、その税理士に頼みたくない場合は、別の税理士に依頼し、申告書を作成してもらうことも考えられます。
また、申告書の内容について意見の違いがある場合には、ご自身の意見を踏まえた内容の申告書を作成し、別々に申告書を提出せざるを得ないこともあり得ます。
以下では、別々の税理士に依頼することが多い例について、詳しく説明したいと思います。
2 他の相続人が信頼できない場合
相続人同士の仲が悪く、他の相続人を信頼できない場合があります。
このような場合に、仲が悪い相続人がすでに特定の税理士に依頼しており、自分もその税理士に依頼してほしいと言われたとしても、心情的に、仲が悪い相続人が依頼した税理士に依頼することは到底できないと思われることもあるでしょう。
このような場合には、それぞれの相続人が、別々の税理士に依頼するといったことが起こり得ます。
3 他の相続人が依頼した税理士が信頼できない場合
他の相続人が依頼した税理士個人が信頼できないといったこともあり得ると思います。
たとえば、他の相続人が依頼した税理士が、他の相続人にとって有利になるような考え方ばかりを話していたり、他の相続人にとって有利な申告方法を提案したりしてくることがあると思います。
このような場合は、その税理士個人を信頼することは困難でしょう。
また、他の相続人が依頼した税理士と話してみたものの、質問に対して的確に対応できない、そもそも相続税についての知識・経験が不足していることが明らかであると感じられることもあり得ます。
信頼できない税理士に依頼すると、本来の額よりも大きい税金を納めなければならなくなる、税務調査の標的にされるといったことも起こりかねません。
このような場合も、その税理士個人を信頼して、相続税申告を依頼することはできないでしょう。
こうした事情等から、他の相続人が依頼した税理士が信頼できないと思われる場合には、別の税理士に依頼することも考えられることです。
4 申告書の内容について意見の違いがある場合
⑴ 申告書の内容について意見の相違が生じることがある
申告書については、おおむね、できるだけ課税すべき相続税の額が減少するような内容のものであれば、全員が異論なく申告書に押印するのではないかと思われがちです。
ところが、現実には、申告書の内容について意見の相違があり、全員が共同で申告することができないといった場合があり得ます。
⑵ 具体例
こうした意見の相違が顕著に表れる例として、亡くなった方の預貯金口座から、生前に多額の出金がなされており、特定の相続人が出金された現金を自分のものにしたのではないかという疑いがある場合を挙げることができます。
このような場合には、出金された現金を相続財産として挙げるべきかどうかが争いになることがあります。
特定の相続人が出金分を自分のものにしていないと回答したとしても、亡くなった方が認知症であった、日常生活動作が困難であった等の事情により、到底財産管理をできたとは思えないような場合には、このような回答が嘘であると推定されることがあり得ます。
このような場合、他の相続人としては、出金された現金を相続財産として挙げることとなることも多いでしょう。
これを相続財産として挙げなければ、特定の相続人の嘘であると推定される回答を追認したと言われかねないですし、最悪の場合には、税務署から、相続財産隠しに加担したとされる可能性があるからです。
他方、特定の相続人は、決して、出金した現金を相続財産として挙げることはないでしょう。
このような場合には、申告書の内容についての意見の一致は期待できず、別々の税理士に依頼して申告することとなります。
津の案件でも、出金した現金が相続財産となるかどうかが裁判所で争われるまでに至っており、相続税については、原告と被告とで別々に申告しなければならなかった例がありました。
5 別の税理士に依頼することを検討されている方へ
このように、他の相続人がすでに税理士に依頼しているとしても、同じ税理士に依頼しなければならないというわけではありません。
心情的に同じ税理士に依頼することができないということもあるでしょうし、同じ税理士に依頼することにより、自分にとって不利な事態に陥ることもあり得ます。
当法人は、別の税理士に依頼したいというご相談もお受けしています。
申告期限までに相続税の申告をしていないのですが,どうすれば良いのでしょうか? 障害者手帳の交付を受けていない場合には、相続税の障害者控除を利用することはできないのでしょうか?

























